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身体と心の関係 〜からだの境界線 皮膚のお話〜

こんにちは。

院長の増田です。

 

夏になり、皮膚の症状のご相談が増えてきました。

たとえば、湿疹や汗疹、アトピーや帯状疱疹など。

 

食事療法とスキンケアのアドバイスをしながら治療をしていますが、

皮膚は実にたくさんの体の「声」を、見えるように伝えてくれています。

 

 

 

今日は皮膚とからだのつながりのお話をします。

 

 

 

皮膚科学の研究者。傳田光洋著
「第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界」

色を識別し、電波を発信し、情報処理を行う表皮細胞、皮膚は脳にも匹敵する思考回路を持っている。
外胚葉という同じ細胞から派生した、脳と皮膚を語った本。

 

 


理学療法士、医学博士。福井努著
「皮膚運動学」

皮膚テーピングとその理論。
従来の筋肉に働きかけるテーピングではなく、皮膚の運動性に着目した本。

 


これらの本を熱心に読んでいたのは、8年前のことです。
当時の僕は、接骨院に勤務して2年目で、日本中あちこちの勉強会に出て学んでいました。
勉強しては、実践して、の繰り返しの中で、
ある日、患者さんの皮膚へのアプローチで、驚くような事が起こりました。


「右膝が曲がらなくなって痛い」という70代の女性。

痛む右の膝は、100度から曲がらず、
伸ばすことも困難で、歩くときには、足を引きずっていました。

左足にも問題を抱えていました。
左足は、大腿部から膝にかけて、過去に大やけどをしていて、皮膚はケロイド状でした。

過去の火傷が、右足の緊張と関係している可能性がある事を告げて、

ケロイド状になった皮膚の緊張にアプローチしました。

仙骨2番に触れながら、左足のケロイドの皮膚に触れ、治療すると、
曲がらなかった右側の膝がみるみる曲がり、治療を始めて数分で、60度近くまで曲がるようになりました。


あまりの変化に、目をまん丸にして驚いた患者さん。
僕自身も、予想を超える変化に驚いたのでした。



何故、そんなことが起こったのでしょう?

 


仙骨2番の神経は、大腿部から下腿部の筋肉と関係します。
仙骨2番の神経は、お尻から足の内側を通って踵までの皮膚と関係します。
仙骨2番は、硬膜という組織を介して、頭蓋骨と頸椎に繋がります。

 

 


「火傷による皮膚の癒着」という視点で見るならば、
左側に起きたヤケドでの皮膚の緊張が、右側の皮膚を引っ張り、右膝の曲がり具合に影響したのだと考えられます。

皮膚の癒着と引きつりが、筋肉や、筋膜、骨を引っ張り、身体のバランスを崩したのでしょう。
(皮膚は靱帯を介して、筋肉や、筋膜、骨に付着しています。)


皮膚に残っている症状を治療すると、大きな変化が起こります。
身体の動きが改善し、痛み、引きつり、が激減します。


全身の皮膚は、すべて繋がっていて、身体を包み込んでいます。
その大きさは、畳一畳分、重さ約3キロと言われます。

 


そんな重くて大きな皮膚は、どのようにして、その場所に固定されているのでしょう?

 


皮膚を引っ張っても元の位置に戻ります。
中には、引っ張ってもほとんど動かない場所もあります。


よく伸びる場所は、首の皮膚、
伸びない場所は、手のひらや、足の裏。

 


首の皮膚が動かなかったら、首が動かせません。
手のひらや、足の裏の皮膚が動かなかったら、ずるずる滑って物が持てないし、歩き辛くなるでしょう。



足の裏や、手の切り傷、指先の怪我、が全身の症状へ影響する理由の一つに、このような皮膚の特性があるのかもしれません。



以来8年間、僕は皮膚にさらに興味を持ち、手術痕や火傷痕、古傷の治療に取り組んできました。




あれから、8年経った現在は、
皮膚の質感(アトピー、失神、たるんだ皮膚、過敏な皮膚、等)とその人の性格が関係していること。
人と人との距離感や、対人、対物コミュニケーションにまで影響することを確信しています。

 


皮膚の状態が、人との関わり方や、感じ方、相手に与える印象までも、変えてしまうのです。


身につけている衣服。服の質感、さらさら、ふわっと。
普段よく触れる物。
電磁波。
空気中にある化学物質。
浮遊する菌やウィルス。
元々、皮膚にすんでいる微生物たち。


そんな身の回りの物に、影響され続けている、皮膚と心。
皮膚と脳は、同じ細胞から発生して、繋がっている。

 


不思議ですね。


次回は、身につけている物や、皮膚のコンディションが、

身体の状態や、こころの状態にまで、影響していたお話をします。