· 

身体と心の関係 〜からだの境界線 皮膚のお話②〜

こんにちは。

院長の増田です。

 

前回の続きで、皮膚のお話をします。

 

 

・・・

 

 

皮膚は、第三の脳。

皮膚と脳は、同じ外胚葉から派生した組織。

 

 

皮膚は、感じることができる。

皮膚は、考えることができる。

 

 

そんな皮膚の力を、わかりやすく感じられることが、

私たちの身の回りには、沢山あります。

 

 

 

 

僕自身の経験では、患者さんに触れる際に、皮膚のはるか手前で

何らかの感覚を肌感覚として感じます。

 

それは、あたたかさ、冷たさだったりします。

 

中には、5メートル先にいても、壁のような抵抗感を感じる人や、

身体の周囲に、触られたくないような、ゾワゾワした感覚がある人もいます。

 

近づくだけで、安心してホッとする。

そんな人もいます。

 

 

この、「何か」の感覚を感じる、境界線。

 

 

繊細な人や、小さな子供たちは、無意識に、より敏感に感じています。

 

 

境界線に、拒絶の感覚を感じた時には、一度立ち止まる必要があります。

拒絶する人は、自分の境界線を侵害されることを嫌います。

 

 

何もしていなくても、ただ、その境界線の中に立ち入ったり、

話す時に圧力を感じるだけでも、恐怖や不安を感じたりするからです。

 

 

この境界線は、パーソナルスペース、と言うとわかりやすいかもしれません。

 

 

 

パーソナルスペースは、一般的には、自分の周囲60cm程度と言われています。

他人が近づいてといい距離、こころを許した人だけが入れる距離。

 

そんな、人との距離感が、パーソナルスペースです。

 

 

 

この、パーソナルスペースを感じているのが、皮膚感覚のように思うのです。

そして、その皮膚が感じる境界線には、それぞれ性格のようなものがあります。

 

 

・・・

 

リズ・ブルボー著

「自分を愛して! 病気と不調があなたに伝えるカラダからのメッセージ」では、

皮膚について、以下のように述べています。

 

皮膚は、原則として、その人が外部との関係で自分をどのように評価しているか、

ということを表しています。皮膚は体を覆っていますので、その人が自分自身に

関係してどのようなイメージを持っているか、ということを表しているわけです。

 

ー中略ー

 

自分の自己イメージがどんなものであるかを知りたければ、自分の肌がどうなって

いるかを見さえすればいいのです。

 

例えば、優しい肌をしている人は、自分を優しいと考えています。

 

あらゆる皮膚のトラブルは、その人が自分自身に対して恥の感覚を持っている、

ということを示しています。

 

他の人たちが自分のことをどう考えるか、自分に対してどんな判断をするか、

ということを気にしてばかりいるのです。そして、ありのままの自分を受け入れる

ことができず、何か言えばすぐに自分を拒絶します。

 

ー中略ー

 

皮膚のトラブルがあなたを困らせれば困らせるほど、それは、あなたの自分に対する

見方があなたを困らせている、ということになります。

 

あなたが皮膚のトラブルで困っているとしたら、体からのメッセージはこうです。

 

「あなたもまた、他の人たちと同様に、弱さ、限界、恐れを持った人間なのです。

それを受け入れましょう。弱さ、限界、恐れを持っているからといって、あなたに

全く価値がないということにはなりません。まずは、自分自身を救いましょう。

 

 

 

・・・

 

 

 

ジャン・ピエール・バラル著

「体からのシグナル 〜体と心が発する信号を正しく理解して最高の健康を手に入れる〜」では

 

皮膚を、「脳に直接連絡する、極めて感度の高い情報感知器」と表しています。

 

 

ー以下、引用ー

 

皮膚は、心が感じることを全て反映する。

 

赤らんだり、シミができたり、あかぎれになったり、ボール紙のような肌になったり、

毛細血管から血がにじみ出たり、時には蒸れたり、酸っぱいような嫌な匂いを発することもある。

 

 

皮膚人間の特徴は、「自分の皮膚の内側にいて満足」

 

 

自信に満ちているとき「自分の皮膚の内側で心地よい」とフランス語ではいうが、

普通に態度に出るばかりか、皮膚にも出る。

 

どちらも、しなやかで輝いている。

体も心も健康な時、皮膚にはハリがあり、輝いていて、そばかすや発疹はないか、ほとんどない。

皮膚という体のショーケースは、心と体の完璧なバランスを反映している。

 

情緒面では、皮膚は肝臓、膵臓、肺など、他の器官と連絡しあって機能する。

他の人たちの仲間入りはしないで引きこもる、肉体的、社会的な接触に不安を抱く、

劣等感を抱いて自己を卑下する、恥ずかしく思う、尻込みしたり、控えめだったり、

過度に慎み深かったり、過剰な反応をしたり、保護されなければならないといった

情緒面の問題を保管するものである。

 

 

 

・・・

 

 

このように、体は、怪我や、痛み、コリ、しびれといったトラブルと同様に、

感情面や精神面のことも、さまざまな表現でメッセージを発してくれています。

 

 

自分の体に起こっていることを理解するときには、

 

・生理学的な反応を理解すること(西洋医学的な学び)

 

・メタファー:日本語では、例え、を意味する。

(症状の意味するものを、自分の置かれた状況や、周囲との関係性と関連させて理解する)

 

最低でも、この2つの側面からの見方が出来ることが大切です。

 

 

メタファーの中には、たとえば

 

・普段とっている食事や運動

・水や水分のとり方、量、質

・仕事の内容や、体の使い方

・歩き方やどんな靴を履いているか、移動手段

・お風呂の入り方や、睡眠の質、環境

・住んでいる家、土地、国

・空気環境(ハウスダスト、アレルギー、温度、湿度etc)

・身につけている衣服やアクセサリー

・荷物の持ち方のくせ

・携帯電話やIT機器の影響

・薬やサプリメント

・タバコやアルコールなどの嗜好品

・メガネやコンタクトが合っているか

・騒音や匂い、日光にどれくらい当たるか

・スキンケアやメイク

・家族やその他(友人、社会など)の人間関係

・ストレスやその人の性格、性質

・どんな思考パターンや信念を持っているか

・自分に対するイメージ、自己価値観

・価値観、倫理観

・生き方、在り方etc

 

パッと思いつくだけでも、これだけの項目があります。

 

これらのことを、時間の流れや体全体から見て、理解していくことが必要です。

 

 

・・・

 

 

以前、妊婦さんの臀部の激痛が、産後の不安や恐怖を解消しただけで、

痛みがなくなった話をしました。

 

この時の生理学的な反応としては、

腸腰筋の筋力低下が起こっていて、骨盤に負担がかかり、そこを通る神経と血管が圧迫されて

痛みが出ていました。

 

 

症状の意味するもの(メタファー)は、

見て見ぬフリをしている不安や恐怖に目を向けることを、体からのメッセージとして表現していました。

 

産後に起こる、いくつかの気がついていなかった不安として

・誰が、どの程度、産後の体や赤ちゃんのお世話をサポートしてくれるのか。

・初の出産で、産後の体の回復や、生活面での負担に、どう対処したら良いか、

想像がつかなかったこと。

・出産時に立ち会いを希望していた夫の休みがどれるか、会社との連絡調整が

まだできていなかったこと

 

がありました。

 

 

見ていなかった不安を恐怖を解消したら、その場で腸腰筋の筋力低下は解消され、腰痛もなくなりました。

 

 

・・・

 

 

皮膚は、視覚的に最もわかりやすく、自分の内面を表現してくれる器官でもあります。

 

 

次回は、そんな皮膚との関わり方(セルフケア)についてお話しします。