院長の増田です。
新学期が始まり、少しずつ新しい環境に慣れてくる頃でしょうか。
今日は、子どもの発達に関するご相談について、お話させて頂きます。
当院では、0歳の赤ちゃんから治療させていただいております。
0歳児のかかえる問題と、対処、予防について、過去に治療させて頂いた症例をいくつか例にあげて、
何記事かに渡って書かせていただこうと思います。
ケース①生後3ヶ月_首の向きグセ
「赤ちゃんが同じ方向ばかり向く」
ケース②生後3ヶ月_股関節の左右差
「片方の脚がむくむ」
ケース③生後5ヶ月_便秘
ケース④生後14ヶ月_脚を広げていないと立てない
「歩くのが苦手で、すぐ座ってしまいます」
他にもたくさんありますが、今回はこの4つのケースを参考にしながらお話をさせて頂きます。
どの症例も、お母さん、お父さんからの
「うちの子がこんな状態なのですが、大丈夫ですか?」というご相談でした。
通常、医療機関での診察や集団検診において、こういった成長、発達の遅れは、
よほどの大幅な遅れがない限り、問題とはされません。
しかし、とても小さなサインではありますが、上記の4つのケースに示したような症状は
赤ちゃんのこれから先の健やかな成長を阻害する因子になり得るのです。
赤ちゃんの一般的な成長のペースは、以下の通りです。
成長のペースは、個人差はもちろんありますが、ほとんど決まっていて、
脳の発達に伴って、順番に進んでいきます。
脳が健全に成長をしていった場合、座る前に立ったり、ハイハイをせずにお座りする
というような、順番が逆転することはありえません。
成長のペースは多少の個体差はあれどほとんど決まっていて、脳の発達に伴い順番に進んでいきます。
もし、この成長のペースが明らかに大きく遅れていたり、順番が違う場合には、
赤ちゃんの体や、住まいなどの環境に、なんらかの原因、問題があると考えられます。
そして、その抱えた問題を放置することが、どんなリスクとなり得るのか?も合わせて
お話をすすめていきます。
①幼児期の発達の遅れと、成長の過程で起こる問題とは?
上記に示したケース①生後3ヶ月の赤ちゃんの、首の向きグセを例にとって説明します。
「うちの子が、いつも同じ方向ばかりを向いている。」
赤ちゃんの異常に気づいた、ご両親からの相談でした。
検査をすると、左方向へ首は動くのに、右方向へは強い緊張があり、
大きく上を向いてからでなければ右へ向けない、という状態で、
原因は出産時の産道を通過する際のトラウマによるものでした。
狭い産道を通って出てくる赤ちゃんの体には、強いストレスがかかります。
その時の身体的なストレスが首に残っていて、異常な緊張が解放されることなく
右の首に残ったままになっていました。
赤ちゃんには、首の動きと、体全体を連動させて動く反射があります。
首に異常な緊張が残ったままになっていると、本来は脳の成長とともに消失していく原始反射が
いつまでも残ったままになってしまい、バランスのとれた運動を阻害することになります。
幼児期であれば、
・寝返りが苦手
・立ち上がっても、上手にバランスが取れず、転びやすい
といった症状にもつながり、これは知能の発達にも影響します。
小学生になれば、
・特定の運動が苦手(身体的な問題のために、練習しても特定の運動が上達しない)
といった症状や、
大人になり、社会に出た後も
・疲れやすい
・環境ストレスに弱い
・対人関係ストレスに弱い
といった弊害ででてくる可能性が高くなります。
まだ、子どもが小さなうちから、身体のバランスを整えていくことは、
子どもの健やかな成長、発達を助けるばかりではなく、大人になり社会にでてからの成長にも
大きく影響しており、才能や能力の開花、将来の可能性を大きく広げることにも繋がるのです。
赤ちゃんに対しての治療は、指先で触れる程度の、とても優しい刺激です。
やわらかく、繊細な、小さな赤ちゃんの身体に対して、
筋肉をストレッチしたり、大きな運動刺激を与える必要はありません。
赤ちゃんが気持ち良く体を動かすことを助け、健やかに成長と発達の過程を
すすめていけるよう、お手伝いをします。
今回ご紹介した、ケース①の赤ちゃんは、治療をしたその場で、
首は左右どちらもスムーズに向くようになり、ご自宅に帰ったあともとても元気に過ごしています。
赤ちゃんの仕草や動作、成長や発達のことで、何か気になる事がありましたら、いつでも
お気軽にご相談ください。
メール、またはお電話にてご連絡いただければと思います。
次回は、お母さんの生活が赤ちゃんに与える影響について、お話します。