引き続き、ことばの大切さについて。

院長の増田です。

前回に引き続き、言葉の使い方についてお話したいと思います。


今回は、コミュニケーションによって、自分が受ける治療の効果を最大限に引き出すコツ。

 

つまり、どういうことか?というと、施術者や病院であればドクターに、伝えたいことを正確に伝えるためのポイントです。



当院に限らず、病院や整骨院などへ行くときに、自分の現在の症状と既往歴、その他、日常生活の様子など、治療を進める上で必要な情報を、正確に伝えるのはとても大切なことです。

必要な情報を、正確に相手に伝えることが出来れば、話をしただけで、治療のポイントが絞られ、最初から的確な治療を受けることが出来ます。

施術者側の視点では、よりシンプルで、患者さんがわかりやすい表現を使う事で、患者さんの症状の改善や、運動療法の効果を上げることが出来ます。

 

 

では、具体的には、どういうコミュニケーションなのか?を、例を用いてお話しましょう。

 


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就活で面接のとき、大学時代の様子について聞かれたAさんの答え。


「大学時代は応援部で、吹奏楽のために人間関係と部の運営に尽力した。」


この文章を見た時、Aさんの伝えたいことがわかるでしょうか?

 

この文章からわかることは、

 


・大学時代は応援部だったこと。
・吹奏楽のための何かに尽力したこと。
・応援部の運営に関わっていたこと

 


伝えたいことは、

 


応援部だったこと?
何かに尽力したこと?
吹奏楽のため、ということ?
運営に関わっていたこと?


どうでしょう?

 


文章の最後にある 「尽力した。」 というのが伝えたいポイントになるので、何かを頑張っていたようです。

 


ですが、「何に対して」尽力していたのかがわかりません。

 

 

使っている言葉は難しく、なんとなく一言でまとまっているように見えますが、内容だけみると、


「私は人間関係頑張ったー!部の仕事もすごく頑張った!」 と、そう変わりません。


僕が幼稚園の先生であれば、

 


「うんうん、そうだね、よく頑張ったね。それで、具体的には、人間関係のどんな部分に苦労したの?部の仕事は、どんな仕事だったの? ゆっくりでいいから一つずつ教えてね。」

 


と答えるかもしれません。

 


ですが、これが面接であれば、文章が稚拙であることを理由に、切り捨てられてしまうかもしれません。

 

書籍の中では、この文章について、何がおかしいのか?説明と、訂正が何度も繰り返されていて、そのプロセスを詳細に説明していますが、ここでは割愛して最終的な文章だけを以下に載せます。



「大学時代は応援部の吹奏楽に所属していた。吹奏楽のクオリティーを高めるために、仲間とのコミュニケーションを第一に考えた。応援部は野球部など他部との日程調整が必要だ。また、対戦相手となる他大学との応援の打ち合わせなども頻繁にある。私はこうした部の運営にも力を注いだ。」

 


大分状況が想像出来る内容になりました。

 


これでも、まだわからない部分がたくさんあるのですが、大体の内容は把握できるようになりました。

 


吹奏楽のクオリティーとは、どんなことを指している?
仲間とのコミュニケーションの内容とは何のこと?雑談?指示の伝達?
部の運営にどう力を注いだ?


曖昧な文章からは、「事実」を受け取ることが難しくなります。

 

 

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話を元に戻して、よりよい治療をうけること、より短時間で原因や治療のポイントを探り、症状が楽になること、を考えるとき、大切なことは

 

・事実を時間経過で伝えられること

・自分にとって大切とは思わない情報も含めて、開示できること

・体も心も、それに伴ってどう感じているのか、何が辛いのか、感情や、解決したい優先順位を整理して伝えられること

 

が出来ると、どこで治療を受けるにしても、スムーズに事が運びます。

 

 

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90分コースの中では、何度もお伝えしている内容の一つに、「事実」と「感情」を分けて考える、という内容がああります。

 

これが、意外と簡単なようで、なかなか出来ない人が多いです。

 

事実と感情を分けて考える、というのは、論理的思考であり、幸せな生き方、考え方の第一歩、基本中の基本です。

 

たとえば、仕事ができる、できない、ということと、好き、嫌いは別。

 

可愛い、ブサイク、ていうことと、好き、嫌いは別。

 

「Qさんは仕事できないから、嫌い」というのは、論理的思考ではありません。

 

「Qさんは、仕事の⚪︎⚪︎の部分は、3回に2回は失敗する」  は、事実で、だから好き、嫌い、は個人の好みの問題です。

 

多くの人間関係のストレスや問題となることは、事実と感情をわけて考えられないことに起因しています。

 

だから、事実と感情を分けて考えること、論理的思考が非常に大切です。

 

 

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たった一つの事実を、私は、どのように受け取り、ことばで表現するのか?

 

その事実に対して、私は、どのように反応しているのか?どんな考えを持っているのか?

 

それを紐解いていくと、自分の傾向やクセが、よくわかるようになります。

 

ことばの使い方には、無意識に、自分の本音や、生き方のクセが表れてきます。

 

なので、逆にいうと、言葉の使い方を先にかえてしまえば、性格も考え方も変わって行く、ということも言えます。

 

最近は、時代の傾向として、自分を大切にしましょう、とか、自分にやさしく、とか、どこかしらで聞いたことがあるフレーズだと思いますが、言葉の使い方が間違っていると、自分を大切にすることも、ずれてきてしまうんですね。



だからこそ、言語能力、文章能力が鍵になるのです。


幼少期の自分と対話するポイントでもあり、インナーチャイルドのワークでも必須の能力です。

幼少期の曖昧な言葉の行間を読み、心の内を受け取り、少ない情報から、より深くにある心の本質に寄り添う。

そうして受け取った思いを言葉にして、「本当はどうしたかった、どうしたら嬉しかった?」を導いていく。

曖昧な言葉を受け取って、そこに足りない言葉を継ぎ足し、感情や感覚を表現し、本当にしたいことにつなげる。


そういった事をひとつひとつ丁寧にしていくことで、今はまだ、僕と妻がナビゲーターをしているクライアントさんも、いずれは自分の内側と対話し、自分自身で目の前の課題を越えていけるようになります。

 

 

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だいぶ脱線しましたが、捻挫の治療をうけることも、対人関係ストレスから解放されることも、自分を大切にすることも、自分を癒すことも、

国語力、言葉の使い方、コミュニケーションが非常に大切、というお話でした。

 

 

ちなみに、僕は「基本的に主語がない、それじゃ意味が伝わらない」と、妻に言われ続け、今もまだ、勉強中です。

 

 

10年先が、今よりもさらに生き生きと生きられるように。
ひとつひとつのこと、言葉、行動をもっと丁寧に。

 

一緒に取り組んでいきましょう。