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言葉の力ってすごい。

今日は、久しぶりに症例のご紹介です。

 

おかげさまで、多くの方にお越しいただくようになり、本当に色々な症例にお目にかかる機会があります。

 

ありがとうございます。

 

HPの表題に、『どこに行っても治らない症状専門』とは掲げていますが(もう少し適切な表現に変えようと検討中)実際のところ、どうやっても無理、というケースももちろんあります。

 

例えば、先天性の奇形や、何かしらの理由で欠損した部位を正常に戻すとか、そんな魔法みたいなことは出来ません。

 

加齢によって変形した膝を元に戻すことも、同じく、出来ません。(変形する前だったら、予防する手段はいくらでもあります。)

 

 

先日、初診の方で、腰痛のご高齢の方が見えました。

 

腰痛は、よくある症状の一つですが、この方の場合は、腰痛の原因が、膝の強い変形によるものに起因する痛みでした。

 

ご家族の紹介で一緒に来院されていたので、ご家族の治療中に、初診の方にはカルテを書いてもらっていて、パッと初見の印象が、正直なところ、数回の治療では腰痛の改善が難しいように思えました。

 

耳の聞こえの関係で、ご家族を挟んでの会話でしたが、こんなやり取りがありました。

 

 

院長「なかなか難しそうな印象ですね」

 

と正直にお伝えしたのです。

 

すると、

 

Pt「ありがとうございます!(体を)見ていただいて」(←本当に、パッと見ただけ)

 

と、深々と頭を下げて、ご本人からの返答がありました。

 

 

院長「・・・あ、はい・・・・・・まぁ、後でしっかり見ましょうね」

 

Pt「ありがとうございます!」

 

と、また深々と頭を下げて、まだ何もしていないのに、ありがとうを言われてしまいました。

 

 

 

 

こんな調子で、何回か、先に「ありがとう」を言われてしまうやり取りを経て、(←この時点で、検査を始める前の段階です)

 

いざ、ご本人の治療です。

 

変形している膝を何とかすることは無理なので、

 

 

院長「全身を検査して、他の腰痛に関係している部分を探しましょうね。」

 

Pt「ありがとうございます!!」

 

 

こんな調子が始終続き、結局、腰も、膝も、全く関係ない部分を治療する流れになったのですが、全ての説明に対して

 

「ありがとうございます」

 

 

どこまで、正確に説明の内容が伝わっているのか、分からないけれど、

 

おそらく、この方は、内容について分からない部分があっても、分からないまま、全面的に、全ての検査、説明、治療に対して全肯定で、全感謝で、治療を『受け取る』あり方に来院される前から、なっていたんですね、きっと。

 

(会う前から、そこまでの信頼をつないでくださったご家族にも、本当に感謝しかありません)

 

結局、1回の治療で、ほぼ腰痛は解消し、ご本人は大満足でお帰りになられました。

 

 

 

 

腰痛を1回の治療で、って、本当に奇跡的なことで、若い人でも、変形がない人でも、こんなことは無いです。

 

本当に、びっくりしました。

 

 

何が言いたいか、というと、こんな奇跡的な結果が現実となったのは、僕の治療がすごいとか、ありがとうって言って欲しいとか、そういうことでは全くなくて、

 

『100%受け取る。治る。』と、決めて、治療に来ている、その方の「在り方」が奇跡を起こしたと思う、というお話でした。

 

 

治癒には、プロセスとタイミングがあり、どんな治療法や治療家が良い、悪い、ということではありません。

 

全てのタイミングが完全に一致した時、このような奇跡的な結果が起こることがあります。

 

 

なかなか、全ての人が、いつも完全な「タイミング」にある訳では無いので、当院では、どんな方でも、ただ淡々とやれば、高確率で結果につながる、再現性の高いケアや日常生活上のコツをお伝えしていますし、現実的な取り組みをとても大切にしています。

 

症状には、必ず原因とストーリーがあり、そこに理解と、現実的な取り組みがあれば、普通に治療をすれば必ず何かしら変化が起こせるからです。

 

しかし、それだけではなく、どんな「生き方、在り方、考え方」か?という点も、実は同じくらい重要なファクターである、ということを考えさせられた症例でした。

 

 

結論

 

奇跡は自分で起こせる。